キヌアの栄養効果

ここではスーパーフードである「キヌア」の栄養効果について述べています。

 

キヌアは南米では古くから主食として人々の間で利用されてきましたが、近年、疑似穀物としての栄養価が高いことが注目され、欧米諸国でもスーパーフードとして食べられるようになりました。そのキヌアに、他の穀物と比べて特に多く含まれている栄養素は以下の通りです。

 

  • 必須アミノ酸
  • ビタミンB群
  • ビタミンE
  • 食物繊維

 

まず、キヌアは白米と比べると、血糖値を上げる値であるGI値が低いという特徴があります。そのためキヌアは、糖尿病を抱えている方にとって重宝するスーパーフードだといえます。しかも腹持ちが良いので糖質制限ダイエット中の方にもオススメです。

 

また、キヌアは必須アミノ酸もバランスよく含まれています。

 

アミノ酸は私たちのからだを構成しているタンパク質の最小単位であり、肉や大豆などからタンパク質を摂った場合、人間のアミノ酸配列は動物や植物と異なるため、一度タンパク質をアミノ酸レベルに分解し、そこから小腸で吸収して人間の体を構成できるよう再び配列し直しています。

 

そのためアミノ酸は私たちの体を構成するために必要不可欠なものなのですが、肉や魚からタンパク質を摂ろうとした場合、アミノ酸としてきちんと分解されず、十分に吸収されないという問題があります。また肉や魚などの動物性食品は、抗生物質や化学薬品などが飼育環境で使われている可能性があり、そのことが、私たちの健康に対して良からぬ影響を与える可能性があります。

 

したがって、アミノ酸の摂取は、動物性食品ではなく植物性食品から行った方が良いといえるのですが、そういう意味では、必須アミノ酸を9種類すべて含んでいるキヌアはアミノ酸の摂取にふさわしい食材だといえます。

 

キヌアはグルテンフリー

 

それに加えて、もっちりとしたやわらかいパンなどに含まれており、体内で様々な炎症を引きおこすとされるタンパク質の一種である「グルテン」が含まれていない「グルテンフリー」であることも、キヌアの特徴のひとつです。

 

アメリカの神経科医であるデイビッド・パールマター氏は「グルテンは現代における「毒物」であり、その研究のために脳の不調や疾患について幅広い状況に注目して調べ直さなければならない。その共通点がわかれば、たった一つの処方箋、つまり食事からグルテンを除くことによって、数々の病気の治療が可能になる」と、『「いつものパン」があなたを殺す』(白澤卓二 訳)のなかで述べています。

 

日本でもグルテンが原因で知らず知らずのうちに体調不良が引き起こされている方が多いとされていますが、キヌアは、グルテンフリーのスーパーフードであるため、体調不良を防ぐとともに、わたしたちの普段の健康維持に高い効果を発揮してくれそうです。

 

キヌアは食物繊維が豊富

 

さらにキヌアは食物繊維の含有量が、白米のおよそ8倍、玄米の1.5倍と多いため、腸内環境や腸内細菌の集まりである「腸内フローラ」を改善するのにも高い効果を発揮してくれます。

 

その食物繊維は消化酵素によって完全に分解されることなく腸に達し、腸内細菌のうちの善玉菌のエサになったり、腸内に止まることで腸の蠕動(ぜんどう)運動を促したりしてくれます。

 

また食物繊維には腸に溜まった毒素や有害物質を吸収し、便と一緒に毒素を体外に排泄するという解毒作用・デトックス効果もあります。

 

腸には100種類・100兆個以上の腸内細菌が群生しており、その様子は「腸内フローラ」と呼ばれています。そしてその腸内フローラの健康を保つことが、免疫力を高めて病気を予防したり、美容やダイエットに高い効果を発揮したりすることが様々な研究の結果、明らかになってきました。そしてそのことは近年、テレビや雑誌などでもよく取り上げられるようになりました。

 

様々な栄養素のなかでも特に食物繊維には腸内細菌を増やしたり、腸内細菌のバランスを整えたりする働きがあるため、食物繊維を日頃から摂るようにすることは、腸内フローラの改善につながり、結果的に免疫力を高めることにもつながっていきます。また便秘の改善のためには、毎日たくさんの食物繊維を摂ることは欠かせません。

 

キヌアに含まれる「フィトエストロゲン」

 

そのほか、女性ホルモンと似た働きをするフィトエストロゲンがキヌアに含まれている点は、女性の健康維持に役立ってくれそうです。「フィトエストロゲン」とは女性ホルモンの「エストロゲン」と似た様な働きをする植物から採れる物質のことで、「植物性卵胞ホルモン様物質」とも呼ばれています。

 

そもそもエストロゲンとは、コラーゲンの合成を進め、胸やお尻に丸みを持たせるなど、女性らしい体作りには欠かせないホルモンのことです。

 

しかし、 エストロゲンは30代半ばから減っていき、閉経直前の45歳頃には急激に減少してしまうと言われています。そのエストロゲンは過剰に分泌されすぎると、乳がんのリスクを高めてしまいますが、減少しすぎると、更年期障害や月経前症候群(PMS)、生理痛、骨粗しょう症、肥満などの症状が起こりやすくなるとされています。

 

このエストロゲンの生成には、酵素と補酵素としてのビタミン、ミネラルが必要になってくるのですが、体内で作られにくくなった際に、「エストロゲン」と似たような働きをしてくれるのが「フィトエストロゲン」なのです。

 

植物性エストロゲンは合成ホルモン剤ではないので、発癌性作用がありませんし、自然界に存在するホルモン作用物質の為、副作用の心配をすることなく摂取することができるというメリットもあります。

キヌア

キヌアの食べ方は、ご飯と一緒に炊いて食べるのが簡単で一般的です。お米に対してその2割の分量のキヌアを、目の細かいざるなどに入れてよく洗い、炊飯器に用意したお米に加えます(水の量は特に増やさなくてもOKです)。お米が炊きあがると、混ぜたキヌアのモチモチした食感が楽しめるようになります。